突然の出会い

恥ずかしながら、私は30歳を目前にしても女性とお付き合いした経験がなかった。
見た目も性格も変わった所があるわけでもないが、女運とでも言うか、とにかく縁がなかったのだ。

 

しかしそれでも、いつかは良い出会いに恵まれる。
そう信じていながら、その出会いはあまりに突然だった。

 

私は日本語教師をしている。
日々外国人との出会いに溢れた職業で、中には国際結婚に憧れているがために日本語教師になる人もいるらしい。
大学在学中に日本語教師に関する試験を受け合格し、卒業と同時に日本語教師となった。
その試験は、日本語教育能力検定試験というもの。
日本語教師を目指すなら必ず目にする試験だが、これに受からないとダメというわけではない。
他にも420時間研修というのを受けるという手もある。
私は大学の授業に加えて本屋でテキストを買っての独学だったけど、スクールに行ったり最近は通信講座でも勉強できる。
参考サイト→日本語教育能力検定試験は初心者でも通信講座で合格できます。

 

何故私が日本語教師になったのかは、語学が好きだから。
中学生の頃から夏休みや冬休みには海外旅行していたこともあり、現地の人とのコミュニケーションの楽しさを肌で感じていた。
高校生になった頃には一人で海外へ行くこともあった。
もちろん初めての時はとにかく不安だったが、現地に着く頃にはワクワク感が大きく不安な気持ちなど忘れるほどだった。
大学では語学を専攻し、英語は日常会話はほぼ問題なしな程度に習得。
日本にいながら外国人とのコミュニケーションが多い職業って何があるだろうと考えた結果が日本語教師だった。

 

就職してすぐは授業が全然上手くできなくて気持ちが萎えてばかり。
実習でやるのと本当の授業とじゃわかっていたけど大違い。
慣れるまで半年以上かかったと思う。
それ以降は、初めて受け持つ生徒が多い日以外は特に緊張することなく、楽しく授業ができてる。

 

さて、本題。
家内との出会いについて。
もう察しがついてるでしょうけど、家内は元生徒。
ある程度日本語は話せるクラスにいた生徒で、日本語教師5年目の時に出会った。
家内は中国からの留学生で、大学以外でももっと日本語を勉強したいからと通ってきていた。
すごく日本のアニメや漫画が好きで、いわゆるオタクの部類に入る。
当時の私はドラゴンボールくらいしかわからなくて、よく授業の合い間に話しかけられてはいたものの、そっちの話になるとついていけずに困っていた。
しかし、授業が終わると毎回挨拶に来てくれるのは家内だけですごく印象が良くて、見た目も美人だったので何だかだんだんと惹かれていってしまったのだ。

 

そしてある日、いつも通り授業を終えると挨拶に来てくれた家内から、今度一緒に飲みに行かないかと誘われた。
女性からの誘いは初めてでかなり動揺してしまったが気になる相手からの誘いを断る気にはならずOKし、日時を決めた。
毎週土曜の夕方と日曜は休みだったので、土曜の夜にとのことになった。
一応先輩に確認してみると、生徒との恋愛は特にNGではないようで一安心。

 

当日は緊張したが、よく同僚と行く居酒屋に行ってお互い楽しんだ。
その日の夜のうちに一線を越えると言うようなことはなかったが、明らかにお互い好意を持っていることがわかっただけでも大きな前進だった。
それ以降、頻繁に連絡を取り、お互いの都合が合う日はデートを重ね、勇気を振り絞り私から告白し付き合うことに。
まさか生まれて初めての彼女が外国人になるなんて思いもしなかったが嬉しさいっぱいだった。
同僚や学生時代の友達に写メを見せて自慢する日々は、今思い出すとちょっとイタイやつだったなと思う…。

 

付き合い始めて1年経つ頃には結婚を意識し始めた。
調べてみると国際結婚は法的な手続きが必要でハードルはかなり高いことがわかったが、それよりもまずはプロポーズだ。
二人で初めて行った居酒屋に行った後、公園を散歩しながらタイミングをはかり、結婚してくださいと一言。
突然のプロポーズに最初は顔に?を浮かべていた家内だったが、次第に信じられないけど嬉しいといった表情に変わり、受け入れてくれた。
その後は家内の実家に行ったり色々と大変だったが、何とか無事に入籍を済ませ、日本で夫婦としての生活が始まった。
まだ子供はいないが将来的に3人は欲しい。
私は30代となったものの家内はまだ若いし、焦ることはない。
しばらくは2人での生活を楽しみ、家内が30になる前くらいに1人目ができたら良いと思っている。

 

ちなみに、最初は中国に帰るつもりだったらしい家内だが、今では日本の生活にすっかり慣れ、大好きなアニメと漫画に囲まれて幸せそう。
中国語の通訳や教師として、私と同じように語学を生かした仕事をしている。
今や政治的には賛否両論ある中国だが、その経済成長ぶりはものすごく、中国相手のビジネスをしようとしている企業は数多い。
家内の通訳としての仕事の需要は非常に多く、1ヶ月休みなく働くことも珍しくないが、全く弱音は吐かない。
中国人女性が強いのか、家内が強いのかはわからないが、私にはとてもじゃないがあの働きぶりは無理だ。
それでいて家事を全くそつなくこなすのだからすごい。
私が休みの日ですら、何か手伝おうかと言っても「あなたは休んでて」の一言で片付けられてしまう。
食事についても和洋問わずかなり上手い。
出来た嫁をもらえて幸せ者だと実感しない日はなく、最初は中国人との結婚に反対意見ばかり言ってきた友達らも、次第に羨んでくるようになってきたほどだ。

 

中国人だからってだけの理由で個人を嫌うのは本当に良くない。
今は政治的な理由から国同士の関係はあまり良いとは言えないが、個人レベルで考えれば中国人だから、日本人だからと嫌い合ってる人は実は少ないはずだ。
個人同士が仲良くしていけば、いずれは国同士も…なんて甘い話ではないことは何となくわかっているが、それでもいがみ合っていても良いことがあるわけではないし、少なくとも個人同士で嫌いあうことのないような世界になってほしいものだ。

 

今まで辞めたいどころか辛いと感じたことが一度もない私にとって、日本語教師は天職なのだろう。
これからも生徒の人生をより豊かなものにする手助けをしているつもりで、自分の授業に磨きをかけ、この職業を極めていきたい。
いずれは日本語教師を育てる立場にもなっていきたい。
この職業は人それぞれのスタイルがあるからか、あまりセミナーのような講演のような、日本語教師同士で集まって勉強する機会が少ないように思える。
それはそれで良いことなのだろうが、それぞれの長所を取り入れあえば、より良い授業ができるようになるはず。
私はもっと勉強していきたいと思っているし、同じように考えている人も少なくないはず。
いつかそんな同志を集める会も開きたいと思ってる。
そしてこの日本語教師と言う職業全体がもっと盛り上がっていけたら何よりだ。

 

まず直近の目標としては、今の職場で出世すること。
語学学校なので、日本語教師の中で一番上の立場にはなりたい。
部長が40歳と若いので、努力次第では私もその歳になる頃には管理職に就けているかもしれない。
と言うか、もっと若い歳で部長になることが目標かな。
35、6歳くらいでなれたら最年少部長として胸を張れそう。
かなり難しいだろうけど、家内の支えがあればできる気がする。
頑張ろう!